v Česku -チェコ生活-

「まぁチェコだし」で、許せる毎日

熱が出た日

先日、久しぶりに熱を出しました。

チェコに来てからは、なるべく自炊をして栄養管理したり、週に何度かジョギングしたりと体調に十分気をつけていましたが、うっかり風邪を引いてしまいました。いつもなら、喉に違和感を感じた時すぐに葛根湯を飲んでいれば簡単に治っていたのに。今回は通用しませんでした。

仕事を途中で上がらせてもらい、片道2時間半をかけてフラフラと家路につき、熱を計ると38度。こんな数字、久しぶりに見た!と一人でテンションが上がり写メを撮って、仕事中の彼氏に送ったら「Ježíšmaria!!!!」(Oh my god!)と慌てて返信が来ました。そりゃそうだ。

丁度この日、彼は接待があって別の街に宿泊予定だったため、私は家に一人でした。寝間着に着替えて、職場で食べ損ねたお弁当をゆっくり平らげ、懲りずにまた葛根湯を飲み、歯を磨いてベッドに横になりました。しかし、いくら時間がたっても寝付けず、頭痛はますますひどくなり、悪寒で全身が震えていました。早く寝て汗をかいて、熱をさげなければと焦っているうちに、熱はどんどん上がるばかりで、汗は一滴もかいていません。どうしよう、なんで?

ふと疑念が浮かび、鉛のように重たい体でゆらゆらと薬箱のある洗面所へ向かい、葛根湯の箱に書かれた「効果・効能」を今一度読んでみました。

「<効能>体力中等度以上のものの次の諸症:感冒の初期(汗をかいていないもの)、鼻風邪、鼻炎、頭痛、肩こり、筋肉痛…」

え!私がずっと万能薬だと思いこんでいたこの漢方薬は、風邪の初期症状にしか効かないんだ…。衝撃の事実。

何としてでも、今はまずこの熱を下げたい。私は、一心不乱に家にある薬箱をひっくり返しました。日本の薬を見てみると、第一三協胃腸薬、バファリンナロンエースビオフェルミンコーラック、ものもらい用目薬など… なんとまぁ頼りないラインナップ!うちでは薬箱をチェコ用と日本用に分けているのですが、普段は私よりも彼の方が体調を崩すことが多いので、チェコの飲み薬の方が豊富でした。

しかし、いざ自分の身体が弱っているときにチェコの飲み薬を服用するのは、実はものすごく心細いのです。この薬で本当に大丈夫かな、ちゃんと熱下がるかな、日本人の身体には合わないんじゃないか…。そんな不安に駆られた私は、昔の旅行セットや以前使っていたポーチなどをあさり、ついにその青く輝く箱に包まれた「ルルアタックEX」を見つけたのでした。

おかげで4〜5時間程眠ることができ、シーツと寝間着は汗でぐっしょり。熱は下がり食欲まで湧いてきました。鼻歌を歌いながら濡れタオルで自分の身体を拭いていると、そういえば一人で病気を乗り越えたのは、生まれて初めてかもしれないと気が付きました。

熱を出せば、父が慌ててアイスクリームやポカリスエットを買ってきて、母が薬や卵おじやを用意してくれていたのが、ずっと実家ぐらしだった私には当たり前のようでした。びしょ濡れのシーツと枕カバーを洗濯機へ放り込み、その間にタマネギと卵と冷凍ご飯でおじやを作りました。味気のないおじやで胃をある程度満たし、後片付けをする余裕もなく、新しいシーツを敷いて布団に潜り込み、一人で病気になるとこんなに孤独なんだなぁと思いながら目を閉じました。

夜が明けて、その日は運良く仕事がお休みだったため、寝たり起きたりを繰り返しながら、一日中家で過ごしていました。夕方頃に、彼が袋いっぱいのヨーグルトとフルーツを抱えて帰ってきて「何か食べた?熱は下がった?あぁ!箱ティッシュを買い忘れた!」とドタバタしながら夕飯の支度をしてくれました。久しぶりに出した私の声は、しゃがれてスピードワゴン小沢みたいでした。